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機種別遊ばれ方レポート 2021年9月3日号

機種別遊ばれ方レポート

「ユニコーン」が「牙狼月虹」に与えた影響

2021.9.3 株式会社ワールド・ワイズ・ジャパン 市場調査部

 現在、2020年の「P大工の源さん超韋駄天YTA」(以下、「韋駄天」)以降、市場では「高速出玉系319ミドルタイプ」が業績面への影響が大きく注目されている。「高速出玉系」という特徴に着目すると、CR機時代からそのトレンドは存在していた。しかしながらP 機の時代となった現在、出玉の速さでプレイヤーに出玉感を訴求するこのタイプが注目を集めていることに異論はないだろう。このような状況下で、供給量不足とも思われる「P 牙狼 MAXX-MC」(以下「月虹」)がリリースされ、絶好調のスタートを切ったわけだが、8月2日にはSANKYO から「Pフィーバー機動戦士ガンダムユニコーンb」(以下「ユニコーン」)が登場。月虹ユーザーの動向も気になるところだが、ブームの発端となった「韋駄天」の現状も気に掛かる。そこで各機種の最新の遊ばれ方について確認を行った(補足1)。

「韋駄天」は収束へ

 「高速出玉系 319ミドル」のパイオニア的存在の「韋駄天」は、8月23日週ですでに平均アウトが 9,000 個を下回っており、まだ稼働貢献中ではあるものの静かに収束に向かっている。稼働の安定度を示す「1 人あたりアウト構成比」(補足2)は20%前後を推移していることから評価も「不安定」となっており、収束期間に入ったことを示している。しかしながら、60 週目で累計台粗利 200 万円を突破するという素晴らしい実績を記録したことは高く評価できるだろう。

「ユニコーン」と「牙狼月虹」、共存の可能性

 破竹の快進撃を続けてきた「月虹」は、後からリリースされた「ユニコーン」の追撃を受ける形となったが、9 月 2 日現在はほとんどダメージを受けていない。図表1(文末に掲載)を見ると、「ユニコーン」リリース週である8月2日週は確かに前週と比較して「月虹」の長時間遊技者比率は 1 ポイント程度ダウンしたがダウン幅は小さく、翌週にはお盆休み期間と重なったことも影響してか大きく回復している。その後再び減少傾向に転じているが、減少幅は「ユニコーン」とほぼ同様であり、「ユニコーン」の登場が「月虹」の遊ばれ方に変化を及ぼしたという指摘は当たらない。これは短時間遊技者比率においても同様である。

 また、プレイヤー1人あたりの平均遊技時間に(図表2:文末掲載)ついて確認してみると、確かに現状では「ユニコーン」の1人あたり遊技時間の方が長くなっているが、具体的には登場週=49.2 分、2 週目=50.2 分、3 週目=45.7 分という内容であり、これは「月虹」の登場週=47.3 分、2週目=53.3分、3 週目=50.8 分と比較して極端な違いを示していない。つまり、図表2における「ユニコーン」と「月虹」の差はリリース直後であるかどうかの違いに過ぎない。

稼働安定度に僅かな影響

 とはいえ「月虹」は後発の同タイプ大型版権機である「ユニコーン」が登場したことにより、僅かに稼働安定度に影響を受けている。稼働安定度は1人のプレイヤーが現在の平均稼働に対してどの程度の影響力を有しているかを理解するための指標であり、同じ平均アウトであっても、より多くのプレイヤーにより形成される平均アウトの方が安定感があることを示しているという考え方である(図表3:文末掲載)。

 「月虹」はリリース直後から需要を供給が上回っているとも言われるほどに強固な安定感を示し、登場週は9.3%、2週目が 10.7%、3 週目が10.1%と「盤石」な状態が続いていた。しかしながら、8月2日週(「ユニコーン登場週)には11.9%、8 月 16 日週からは 12%台にまで上昇してきており、本レポートにおけるの指標は最上位の「盤石」から2番目の「安定」に変更(補足2参照)となっている。

 現在の「高速出玉系 319ミドルスペック」の花形と言える「月虹」と「ユニコーン」だが、続々と同タイプの最新機種がリリースされてくる。その中で危惧すべきは、同タイプの過剰な導入だろう。  自店に同タイプを飽和状態になるまで無計画に導入した場合、平均アウトが下降し、プレイヤーに魅力的に映らなくなる恐れがある。それぞれの機種が1日でも長く「旬」を装うことができるように、プレイヤーによる遊ばれ方を注視しながら、後続の新機種の導入可否はもちろんのこと、導入規模についても熟考したい。

(補足1)本レポートにおける稼働データはSUNTAC社「TRYSEM」の週間客数データを使用

(補足2)1人あたりアウト構成比(%)= 1人あたり平均アウト / 機種平均アウト × 100 :1人のプレイヤーが占める平均アウトへの影響を確認するための指標。多くのプレイヤーにより機種平均アウトが形成されている場合、1人あたりアウト構成比は低くなり、対象機種での遊技をやめた場合の機種平均アウトへの影響が少ないため安定感がある。

(補足3)本レポートにおける稼働安定度指標(パチンコ・1人あたりアウト構成比)=11%以下:盤石、11%〜13%未満:安定、13%〜15%未満:やや安定、15%〜17%未満:やや不安定、17%以上:不安定

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