
2030年の秋頃、統合型リゾート(IR)が大阪市此花区の人工島、夢洲に誕生する予定だ。初期投資額は1兆2700億円といわれており、MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスによって、整備・運営が行われ、日本初のカジノもオープンする。今回は、5年後のカジノオープンを控え、ギャンブルを好む人たちが、日本初のカジノにどの程度興味を有しているかについて調査した。まだ、オープンまで5年もあるため、ある程度の参考情報ということにはなるが、現時点での注目度はどの程度なのか。
ギャンブル好き男性の3割が、「大阪IRのカジノに行って勝負したい」と回答
今回の調査は2024年12月19日に実施したギャンブルに対する志向性調査の続編となる。 20代〜60代の男性(合計3000人)の中で、ギャンブルを「好き」 または「どちらかというと好き」 と回答した人を対象として実施していている。ちなみに前回調査では、全体集計で12・1%がギャンブルを「好き」と回答。21・5%が「どちらかというと好き」と回答している。
今回の調査は前回同様にインターネットアンケートで実施しており、ギャンブルが好きな男性300人、ギャンブルをどちらかというと好きな男性300人の合計600人を対象に実施している。
最初の設問は「2030年に開業が予定されているカジノを含む大阪IRですが、あなたはそこにオープンするカジノに行って勝負してみたいと思いますか」とした。とりあえず見に行きたいという人と区別するため、設問には〝勝負したい〞という文言を敢えて入れている。
回答選択肢は次の通り。
(1)行って勝負してみたいと強く思う
(2)機会があれば行って勝負してみたいと思う
(3)機会があれば行ってみたいが、見学する程度のイメージで考えている
(4)あまり行きたいとは思わない
(5)まったく行きたいとは思わない
回答結果は図表1として掲載しているのでご参照頂きたい。まず、ギャンブルが好きな男性300人の回答結果は、「行っ て勝負したいと思う」が30・7%でトップとなっており、「機会があれば行って勝負したいと思う」が30・3%でこれに続く。合算すると61・0%が大阪IRに誕生するカジノでの勝負することを望んでいる。これに対して、ギャンブルを「どちらかというと好き」と回答した男性の回答結果とは大きな違いを見せている。
彼らの回答結果は「行って勝負したいと思う」が僅か4・7%にとどまっており、「機会があれば行って勝負したいと思う」を合算しても 29 ・4%にしかならない。最も選択比率が高かった回答は「まったく行きたいとは思わない」の34・0% で、明らかなギャンブル好き男性の回答結果とは大きな乖離を見せている。このような結果から、現在、大阪IRに誕生するカジノに強い訪問意欲(勝負意欲)を有している人たちは、かなりギャンブルが好きな人たちであり、ギャンブルに対する好奇心はあるが、それほど強くない人たちは、カジノへの興味を強く示していないとみなすことができそうだ。従って彼らは、大阪IRにカジノが誕生しても、ギャンブルの楽しみ方を変化させることなく、これまで通りの楽しみ方(例えば競馬 やボートレースなど)を続けるものと推察される。調査結果を見る 限り、ギャンブルに興味がある男性すべてが大阪IRのカジノに殺到するというわけではなく、明らかにギャンブルが好きな人たちに限定される可能性が高い。
居住地域による回答差はあるのか?
次に、図表1の回答結果のうち、「ギャンブルが好き」な男性回答者について、居住地が関西圏(ここでは大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県とする)と関東圏(ここでは東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県とする)に分類して、カジノへの来場意欲を再度集計してみた。居住地(大阪IRカジノ訪問の利便性)による来場欲求の差を確認するためだ。結果は図表2として掲載している。
グラフをご覧いただくと、「ギャンブルが好き」と回答した人においては、関西圏在住者と関東圏在住者の間に、回答結果にそれほど大きな差が生じていないことがお分かり頂けるかと思う。「行って勝負したいと思う」についてはむしろ関東圏在住者の方が1.2ポイント高くなっており、関西までの距離がカジノへの来場意欲の障害になっていないことが確認できる。背景には、日頃からギャンブルに興じるだけの経済的、時間的余裕が彼らにあることも推察されるが、大阪IRのカジノには、関西圏在住者のみならず、関東圏からも同等程度の来場希望者が存在しているようだ。こうなると当然、移動や宿泊という点での経済効果が生まれることになるため、インバウンドのみならず国内におけるこれらの需要の高まりも予想されることになる。
この先の5年間で社会の価値観の変化などにより今回の調査データが示すような結果を生む保証はないが、あくまで現時点での参考データとしてご紹介してみた。
個人的には、「どちらかというとギャンブルが好き」と回答した人たちが、それほどカジノに興味を示していない点に注目しているが、読者の皆様はいかがだろうか。