電子マネーの普及に伴い、パチンコ・パチスロ遊技においてもその利用が可能になることを望む声が聞かれる。そこで今回は、パチンコ・パチスロの主たる客層である20代〜60代の男性1000名に対して、日常生活における電子マネーの利用状況についてアンケート調査を実施した。
<調査の概要>
今回は日常生活(家賃、通勤費などの固定経費を除く)における電子マネーの月間利用金額についての調査となる。対象者は20代〜60代の男性1000人。例によってインターネットアンケートによる調査となっている。まず整理しておきたいのが、電子マネーの種類。支払い方式で分類すると「プリペイド型」(事前チャージ方式)、「ポストペイ型」(後払い方式)、デビット型(口座即時引き落とし式)の3種類に分類できるが、この分類では近年特に広がりを見せている「PayPay」「d 払い」「楽天Pay」などのいわゆる「QRコード方式」がどれに該当するか分かりにくいため、今回の調査では発行主体と支払い方式に着目して次の4つの分類で調査を進めた。
(1)交通系...Suica・PASMO など
(2)流通系...WAON・楽天 Edy など
(3)クレジットカード系... ID・QUICPay など
(4)QRコード系... PayPay・楽天Pay・LINE Pay など。
ただし、クレジットカード系については、回答者がクレジットカードそのものと勘違いしている様子が回答結果から確認されたため、ここではこれらについての言及を控えることにする。また「クレジットカード系」の「id」などにもQRコード決済機能が実装されていることから、本件調査は回答者の一部に混乱を生じさせた可能性を否定できない。従って、以下に示す回答結果はデータの活用視点次第では十分な注意が必要であることを指摘しておく。
<電子マネーの種類別では「QRコード系」が最も平均決済金額が大きい>
電子マネーを利用している回答者の、日常生活における電子マネーの月間平均決済金額は、次の通りとなった。PayPayなどに代表される「QRコード系」による決済金額がトップ。(1回あたりの決済金額を示すものではなく)月間決済金額であるため、「QRコード系」の利用頻度の高さも窺える結果といえる。
1位:「QRコード系」 21,112円
2位:「流通系」 8,044円
3位:「交通系」 6,041円
なお、月間平均決済金額は、いわゆる「外れ値」に影響を受けやすいため、次に「中央値」でデータを再集計した。結果は次の通り。
1位:「QRコード系」 10,000円
2位:「流通系」 4,000円
3位:「交通系」 3,000円
<月間平均決済金額は40代が最も多く、60代でも十分に使いこなしている>
年代別に「中央値」を集計した結果は次の通り。
「交通系」:20代・30代=2,000円、40代・50代=3,000円、60代=2,500円
「流通系」:20代=5,000円、30代・40代=3,000円、50代・60代=5,000円
「QRコード系」:20代=5,000円、30代・40代・50代・60代=10,000円
<パチンコ・パチスロ遊技時の利用金額と電子マネー>
これらの結果を見ていると、電子マネー利用者の中心は、高額決済にはあまりこれを用いていない様子が窺える。例えば「1円硬貨や5円硬貨で釣り銭をもらうのが嫌」という理由で電子マネーを利用している人も多い。仮に電子マネーを利用する最大の理由がこれであるならば、1000円札あるいは1万円札での遊技が主流といえるパチンコ・パチスロ遊技には、ダイレクトには結びつかないことになる。
しかしながら、一方では「あらゆる決済を電子マネーにしている」「電子マネーでの決済を優先している」という“電子マネー派”という人たちも存在する。今回の調査で、日常生活における決済方法について、回答者の指向性を確認すると・・・
・電子マネー派 :46.1%
・現金派:34.3%
・どちらともいえない:19.6%
という結果となった。
電子マネー派が主流となっている感があり、今後ますますこの傾向は顕著化するのではなかろうか。
これらを総合的に考えると、パチンコ・パチスロホールにおける電子マネーは、現在のところ「低貸玉コーナー」において最も普及しやすい状況にあると推測される。
2023.7.1 株式会社ワールド・ワイズ・ジャパン 市場調査部