
スポーツベッティングの日本での実現に向けた動きについては、月曜日のニュースやコラムでも触れてきた。勝敗や、得点、誰が打つか等、さまざまな事柄を予想して的中させるギャンブルがいわゆるスポーツベッティングだが、もともとブックメーカーが文化として根づいているイギリスが中心だった。だが、世界最大のスポーツ市場であるアメリカで2018年に解禁。合法化されている州はペンシルバニア州、ニュージャージー州、インディアナ州、ネバダ州など21州に及び、17州は合法化の手続きを進めていると報じられていた(4月中旬時点)。
日本では、このスポーツベッティングに向けた動きとして、当該報道では「NeoSports」が2019年5月にプロバスケット「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2018-19」で予想アプリを使った「FANTASY ONEonONE」を企画し、同年7月には「第87回日本プロゴルフ選手権大会」を予想ゲームの対象にしたほか、昨年は読売新聞社と共催し、巨人戦リアル予想ゲーム「INNING KING」を実施。また日本企業で唯一、英国でベッティングライセンスを取得している「ジャングルX社」は3月14日にスポーツ庁協力の下で「3×3.EXE PREMIER powered by INNOVATION LEAGUE」を開催。ファンとチームの双方向性を高めるファンタジースポーツで通常の観戦とは違う没入感や熱狂性を提供したことを挙げ、「これら一連の試みは新たなライブ観戦を提案するもので、いわば近い将来への布石。国内のスポーツ産業に風穴を開けようとしている」と推測した。
さて、ここで出てきたファンタジースポーツだが、これは、好きなスポーツからお気に入りの選手を選び、架空のチームを作るシュミレーションゲーム。SPAIAによると、ファンタジースポーツは、実際の選手の成績と自身が作った架空のチームのスコアが連動。海外のスポーツファンの間では昔から人気のゲームだったという。また、日本においては1995年にファンタジースポーツ社が設立されており、インターネットを通じたファンタジースポーツサービスを提供。2001年にはYahoo!Japanの中のスポーツナビがファンタジーベースボールのサービスを開始しているが、日本では広く普及することはなく、一部のファンを持つに留まっているとのこと。
一方、海外ではアメリカを中心に、観戦におけるスタイルの親和性から近年ファンタジースポーツは熱狂的に広まっているそうだ。海外のファンタジースポーツでは賞金制を導入していることが多く、スポーツに関する知識を駆使して一攫千金が狙えるところも広く普及した要因になっているという。
ただ、賞金制の導入はスポーツベッティングの実現同様、日本では大きな壁となるだろう。とはいえ、カジノを含むIRが実現しそうないま、世界で楽しまれている他のギャンブルや射幸性を伴う娯楽が日本に導入されないとは言い切れない。
5月17日にはサンスポ.comが、自民党スポーツ立国調査会のスポーツビジネス小委員会がスポーツ産業の成長に向けた提言を取りまとめ、スポーツを対象にお金を賭けて予想するスポーツベッティングなどの検討を政府に求めることを盛り込んだと伝え、その後スポーツ庁は5月28日に、同小委員会メンバーが永岡文部科学副大臣を訪問し、提言を提出したことを発表している。
国内におけるレジャーの多様化がパチンコ・パチスロ参加人口の減少を招いた平成を経て、令和では、これまでとは違った方向、つまりギャンブルや射幸性を伴う娯楽のグローバル化が遊技産業の土台を脅かすことになるのだろうか。