NPBで「野球くじ」誕生の可能性。広がる“賭ける遊び”

機種別遊ばれ方レポート

 2026年7月16日に大手紙を含む複数の媒体が日本プロ野球での「くじ」導入に向けた動きを報じた。読売新聞オンラインの記事はこうだ。プロ野球12球団のオーナー会議が7月16日に開かれた。そこで、中学世代の球児の活動を支える新たな組織作りの財源としてプロ野球を対象にしたスポーツ振興くじの検討を始めることを決めたというもの。

 国が進めている中学校の部活動の地域展開に伴い、学校中心の選手育成モデルが変容する可能性が高く、選手と指導者を育成する新たな枠組みの構築と財源確保がプロアマ球界にとって重要な課題となっているという。今年の同会議議長を務める横浜DeNAベイスターズの南場智子オーナーは記者会見で「財源確保の選択肢の一つとしてスポーツ振興くじの検討を始めることについて、各オーナーの了承を得た。使途を中学生の活動支援と明確にし、アマチュアを含めた野球界の総意を形成していく」と説明したとのこと。

 なお、日本プロフェッショナル野球協約では八百長(敗退行為)や野球賭博を禁じているなか、「スポーツベッティング(賭博)は違法であり、予想に関わるものには参加しない」とし、コンピューターがランダムに勝敗などを設定する「非予想系のくじ」を前提とするとしている。

 これまで、本コラムではgumiの“ヨソクヒロバ”など日本の予測市場の動向を取り上げてきた。その際、「2030年にはカジノを含む大阪IRが誕生する中、カジノ事業者もギャンブルの範疇でのオンラインベッティング事業の実現を目指してくる。さらにスポーツベッティングに限っては、既に日本で存在する“スポーツくじ”との兼ね合いも無視できない」との見解を示したが、まさに「くじ」が先んじた形となった。

 とはいえ、予想系の「くじ」ではないため、予測市場でスポーツベッティング等の賭け事を楽しむ可能性、カジノ誕生を契機にゲーミングとしてベッティングを楽しむ可能性は残されている。

 とりわけ前者に関しては、賭博とは異なる“ポイ活”で参加する娯楽の範疇で事業が広がりを見せつつある。gumiの「ヨソクヒロバ」は、ログインや広告視聴等を通じて無料で入手できる(お金で買うことはできない)専用の予測ポイントを使って予測に参加し、的中すれば電子マネー等と交換可能な報酬ポイントを受け取ることができるという仕組みだ。欧米で行われているポリマーケット等の予測市場の仕組みは日本の現行法では賭博罪となるため、「ヨソクヒロバ」ではそこをポイ活の仕組みで回避。増加傾向を見せるポイ活層はもちろん、主婦や学生たちにも参加してもらえる“予測市場の大衆化”を目指すという目標を掲げている。なお、将来的には、この仕組みにブロックチェーン技術を組み込んでいくことによる、“金融商品取引法の範囲内での金融商品化”を視野に入れている。

 また、このポイ活での予測市場に関しては、Masenticが提供する予測市場アプリ「MIRAIMA(ミライマ)」もある。こちらは年初に同サービスのリリースを発表しており、2026年1月29日付でプレスリリースはあったようだが、メディアによる取り上げが乏しい中、スルーしてしまっていた。だが、6月下旬に在九州メディアが詳細を記した取材記事を発出し、私の知るところとなった。ちなみに、こちらのプレスリリースを見ると、「早稲田大学教授との共同開発(予測市場モデルの精度向上と社会的有用性の検証において、早稲田大学 Shimizu Labと共同開発。予測市場のモデル開発=アルゴリズム構築を通じて、単なるエンタメアプリに留まらない社会的価値のあるデータプラットフォームを提供)」「大手弁護士事務所による“違法ではないお墨付き”(大手法律事務所の指導のもと、日本の刑法(賭博罪)および景品表示法等を遵守した設計を行った)」との文言が躍っていた。

 なお、MIRAIMAでもユーザーはアプリ内のCM動画視聴、ゲーム、案件、ミッションなどでポイントを獲得し、このポイントを使って予測テーマに参加する。予測が的中して増えたポイントは、ギフト券や他社ポイント等に交換可能という。ただこちらは、gumiのように金融取引を意識しているとの記述は記事の中に見当たらず。プレスリリースでも、「予測市場を通じて、不確かな空気ではなく、数字で可視化された透明性の高い次世代のメディア(世論調査)を創造する」とし、「健全かつ透明な“メディア”として、日本独自の市場を開拓する使命がある」と、動機を掲げている。

 そのスキームに関して、メディアの記事では<賭博法制や景品規制に接触しやすい「価値の拠出」と「価値の払い戻し」を細かく分解し、入口では無料参加を掲げ、途中では広告やミッションを通じたポイント獲得に置き換え、出口では賞品ポイントやスポンサー提供の特典として処理する。法のすき間を単純に狙うというより、商品設計そのものを法務設計と一体化させている>と説明。「この切り分けこそ、日本で予測市場型サービスを展開する際の核心」「日本市場で問われるのは、熱狂をどこまで収益化できるかではなく、予測という行為を賭博ではなく、メディア、広告、リサーチ、ファンエンゲージメントとして成立させられるかである」との認識を示した。

 矢野経済研究所が昨年末に発出した「ポイントサービス市場に関する調査を実施(2025年)」と題したプレスリリースでは、2024年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)を約2兆8,125億円と推計。特に近年は、キャッシュレス決済の浸透&これらの決済サービスによるポイント発行の拡大が市場全体の成長を牽引し、加えて、物価の上昇が続く中で節約・家計防衛を目的に“ポイ活”が幅広い年代層において浸透し、ポイントを意識的に獲得するユーザーの増加も市場の成長を後押ししていると指摘した。さらに2029年度には、市場規模が約3兆4,000億円まで拡大すると予測している。

 とまれ、「くじ」であろうが「ポイ活」であろうが、人間の本能である“賭ける魂”を刺激する娯楽の急速な拡がりを警察庁はどう見るのだろうか。MIRAIMAではW杯全正解で1億円プレゼントのキャンペーンも実施していたが、今後の行政の対応に注目したい。

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